カナダのカレッジ、大学進学
「カナダの大学の入試は難しいんでしょうか?」という質問をよく受けますが、この質問への答えは、なんと、
「カナダに大学入試はない!」なのです。
「それならカナダの大学に入るのは簡単なの?」と思いますが、残念ながらそんなに単純でもありません。
カナダの大学の種類
まず、カナダの大学の種類について紹介します。日本と違うのが当たり前なのですが、特に日本で間違って認識されやすい、カレッジについて詳しくご紹介します。
University(ユニバーシティ)
様々な分野の学科がそろった総合大学をユニバーシティと呼びます。
日本ではユニバーシティを大学と呼ぶことが多いですが、カナダでは、就学年数ではなく、規模によりカレッジと区別されます。
ユニバーシティでも1年制、2年制のプログラムが提供されていて、大学院のプログラムが提供されることも多いです。
学校の規模は大きく、一クラス当たりの人数も多いです。また、学費も以下で紹介するカレッジ、ユニバーシティ・カレッジよりも高いです。
この記事では、日本と比較して理解しやすいように、ユニバーシティを「大学」と呼んで、この後で紹介するカレッジと区別します。
College(カレッジ)
日本では短大と訳されることが多いですが、単科大学とか小規模大学といった方がより近いです。
職業訓練に特化した2年制のDiplomaが中心ですが、4年間間通ってBachelor(学士)が取れるプログラムを開講していることも多いです。
ユニバーシティに編入できる、ユニバーシティ・トランスファー(UT)というプログラムを開講していることが多いのも、このカレッジです。
ユニバーシティ・トランスファー・プログラムについては、この後詳しく説明しますね。
University College(ユニバーシティ・カレッジ)
ユニバーシティとカレッジの両方の特性を持つのが、ユニバーシティ・カレッジです。学生は、4年間ここで勉強して学士の学位を取ることも、1年~2年勉強してユニバーシティの2年、3年に編入することも可能です。
また、上の2つの選択肢を、在学中に変更することも簡単にできます。ユニバーシティとカレッジのいいとこ取りをするのが、ユニバーシティ・カレッジなのです。
カナダの大学への進学の方法
はじめにご紹介したとおり、カナダの大学には入学試験がありません。では、どうやって入学するのでしょう。2つのルートを解説します。
高校から直接大学に入学する
高校卒業後、直接大学に入学する方法です。留学生の場合はTOEFL、IELTS等の公式英語試験のスコアによる英語力の証明と、高校の成績により入学の可否が判定されます。
カレッジに通った後、大学に編入する
カレッジのユニバーシティ・トランスファー・プログラム(UTプログラム)を1年~2年受講した後、大学に編入します。UTプログラムについては、以下で詳しく解説します。
UTプログラムって何?
UTプログラムとは、高校を卒業した後、いったんカレッジに入学し、大学の1、2年の科目を学ぶことで、大学の2年または3年次に編入できる制度です。
カナダ人にも人気のUTプログラム
留学生だけでなく、多くのカナダ人の学生もカレッジのUTプログラムを活用して大学に編入しています。
中には、高校の成績が良く、大学に直接入学できるのに敢えてUTプログラムを選択する学生もいるほどです。
多くのカナダ人がUTプログラムを選ぶのは、以下のような利点があるためで、それは留学生にもそのまま当てはまります。
UTの利点:学費が安い
UTプログラムの利点の一つは、学費を低く抑えられることです。
カナダの大学、カレッジの学費は、単位ごとに決まっています。バンクーバー大都市圏の大学、カレッジの留学生の学費の相場は以下のとおりです。
大学の1単位当たりの学費:$1,100~$1,200
カレッジの1単位当たりの学費:$500~$600
カレッジは大学の半額ですよ!
UTプログラムに人気があるのも納得です。
UTの利点:小規模でアットホーム
次にご紹介するUTプログラムの利点は、カレッジが大学に比べて小規模でアットホームなため、カナダ生活を始めたばかりの留学生にとって最適な環境なことです。
カナダ人でも、いきなり大学に入って生活になじめず退学してしまうというリスクを避けるため、比較的環境に馴染みやすいカレッジから始める学生がたくさんいます。
大学では、大講堂で行われる授業などでクラスの人数が300人を越す場合もあり、生徒は聴くだけの受身になることが多いです。
また、教授は授業よりも研究がその主な仕事であるため、学生と教授のコミュニケーションの機会は少ないです。
いっぽう、カレッジではクラスは少人数で、教授は学生一人一人に目を配り、交流の機会も多いです。
英語の面でハンディキャップがある留学生にとっては、少人数で教授と密接な関係を築けるカレッジの方が望ましい環境といえます。
UTの利点:入学しやすい
カレッジの方が大学よりも入学しやすいです。(もちろんカレッジに入るのも簡単ではありませんが)
日本から直接カナダの大学に入学するには、英語力の証明の他に高校の成績が合格基準以上であることが求められますが、カレッジに入学する場合は英語力の証明だけで良いことがほとんどです。
その英語力の証明のための公式英語テストのスコアも、大学よりもカレッジの方が低めに設定されていることが多いです。
さらに、英語スコアが足りない場合は、語学学校のパスウェイ・プログラムという大学入学準備プログラムを受講したり、カレッジの英語講座を受講したりして、英語試験のスコアの代わりにすることができます。
カナダの大学事情
ここまで、カナダの大学の種類と入学方法についてご紹介しました。
「大学入試がない」という、びっくりなカナダの大学ですが、日本の大学と違うことが他にもたくさんあります。
ここからは、学生生活、大学での勉強、卒業後の就職等、カナダの大学事情について解説します。
大学に入学するのは簡単でも、入学した後が大変
はじめに書いた通り、カナダの大学には入試がありません。なので大学に入学すること自体は難しくありません。
必要なものは、基本的にはTOEFL、IELTS など公式英語テストによる英語力の証明と、最終学歴の卒業証明書、成績証明書だけです。
しかし、入学は簡単でも、その後が大変です。
どこの大学を卒業したかよりも、どんな成績で卒業したかが大事
カナダの大学には入試がないと何度も言っていますが、その分、カナダで評価されるのは、「どこの大学を卒業したか?」ではなく、「どんな成績で大学を卒業したか?」なのです。
カナダの大学は日本とは違い、出席の条件は厳しく、当然ながら授業はすべて英語です。
私自身の(苦い)経験では、授業の前に教科書20~30ページを読んで、その内容をひと通り理解しておかないと、授業のディスカッションについていけない、というのがとにかく辛かったです。
カナダには予備校がない!
カナダの大学に入試はないと何度も書いていますが、やっぱり名門大学には入学希望者が集中するので狭き門になります。
高校卒業時に希望の大学に入れなかった学生はどうしているのでしょうか?
カナダには日本の様な、いわゆる予備校、特に浪人生を対象とした予備校はありません。
高校卒業時点で自分の目標とする大学に入学できなくても、カレッジのUTプログラムを使って再度チャレンジできるからです。
そしてUTプログラムは浪人ではなく編入なので、学生は時間を無駄にすることはありません。
入学式がない!卒業時期もバラバラ!
カナダの大学、カレッジの多くは学期制(セメスター制)を取っていて、1年を三つの学期(1月~4月、5月~8月、9月~12月)に分けています。
そして大学、カレッジの学部、学科ごとに入学可能な学期が決まっています。
9月がカナダの学校年度の始まりなので、9月から入学可能な学科が多いですが、1月、5月から入学可能な学科もあります。
入学する時期がバラバラなので、卒業する学期もやっぱりバラバラです。ですが、卒業式はまとめて6月に行います。(学校によります)
私の場合は夏学期の終わりの8月に卒業したので、卒業式は翌年の6月で、ちょっと間が抜けた感じになってしまいました。
学年がない!留年がない!
カナダの大学には学年がありません。自分の通う学科を卒業するのに必要な単位を取得し終えた時が卒業です。
そのため、大学卒業までにかかる期間も学生ごとにバラバラです。「次の学期は授業の登録をしないで休みにする!」と宣言して次の学期に学校に来ないという学生もたくさんいました。
(注意:日本人を始め留学生は、学生ビザを維持するため夏学期以外は毎学期9単位以上科目登録する必要があるので、こんなに気楽に休むことはできません)
転部・転校が簡単にできる!
公立大学、カレッジの間での授業内容の標準化が整備されているのも、カナダの大学の特徴です。
特にブリティッシュコロンビア州内では、大学に通っている途中で他の学部や他の大学に転部、転校したり、1科目だけ他の大学で受講したりといったことが簡単にできます。
就職活動がない!
カナダには、日本のような、新卒学生を一括採用する雇用慣行がありません。また、アルバイトと正社員という区分が非常に緩やかです。
アルバイトと正社員という、雇用条件の区分ではなく、パートタイムかフルタイムかという、勤務時間の区分の方が重視されます。
そのため、カナダの大学生は、学生時代にパートタイムで働いていた会社で卒業後もフルタイムで勤務するのが非常に一般的です。
また、大学に通っている途中でパートタイムで働いていた仕事が面白くなり、大学の勉強を中断して数年間働いてから大学に戻ってくるという学生も珍しくありません。
また、コープ(Co-op)の制度を使って、有給インターンを行った先の会社で卒業後に就職するケースも非常に多いです。
日本の高校を卒業して、海外の大学進学を目指したい!
さて、高校卒業直後にカナダの大学への進学を目指すのは現実的な選択肢なのでしょうか?
本気でカナダの大学への進学を考えたい場合は、まずは下記の2点をきちんと認識しましょう。
カナダの大学留学にはお金がかかること
カナダ有名大学への進学を希望される場合、通常のパターンでの留学ですと学費と生活費で1,000万~1,500万円、節約したプランでもその半額くらいはかかります。
自分で留学中にカナダでアルバイトなどをして、生活費分を稼ぐことも出来ますが、まずは留学資金について、家族とも相談してよく考えましょう。
きちんとした覚悟を持つこと
カナダの大学は、入学するよりも卒業する方がずっと大変です。
大学に通っている途中で、「予算が底をついた」、「授業についていけない」等の理由で卒業せずに途中で帰国してしまうと、日本での肩書は「高卒」扱いになり、就職活動も含めて相当厳しくなります。
よくカナダや海外の大学へ進学する際に、「英語力がまずは必要」という情報をみます。
しかしながら、いま現時点での英語力がどうかよりも、この「資金」と「覚悟」があるかを確認することが先決です。
英語力を身につけること
資金と覚悟があったら、次に必要なのは英語力です。
カナダの大学に進学するための主な条件は英語力で、一定レベルの英語力があれば、大学進学の方法はいろいろあります。
今十分な英語力がなくても、英語力を上げることはお金と時間があれば問題なく出来ます。
大学のウェブサイトの入学条件だけを見て英語力の条件をまずは満たすことを考えている方も多いですが、カナダ大学進学の準備は英語力だけでなく、資金と覚悟の全てを同時並行に進めていくほうが効率は良いです。
カナダの大学進学は無理ではない
ここまで、資金と覚悟と英語力の面で、カナダの大学進学の、かなり厳しいことを書きました。
しかし、だからと言ってカナダの大学進学をあきらめないでください。
しっかりとした資金と覚悟があれば、カナダの大学に進学することは決して無理ではないのです。(英語力はカナダに来て語学学校で伸ばすことができます)
パスウェイプログラム
カナダの大学、カレッジに入学するためには、大学の授業についていくことができるだけの英語力、つまり、カナダの高校を卒業したのと同程度の英語力が求められます。
英語力の条件を満たすためには、IELTS、TOEFL等の公式英語テストで一定以上のスコアをとることが一般的ですが、語学学校(ESL)の大学進学準備プログラム(パスウェイプログラム)を使うこともできます。
カレッジ→大学進学がおすすめ
カレッジの方が大学よりも学費が安いため、カレッジのユニバーシティ・トランスファー制度を使って大学に編入するのが一番おすすめです。
学費が安いだけでなく、カレッジの方が大学よりも良い成績を取りやすい環境であること、そもそも大学に直接入学することが難しいことからも、カレッジから大学への編入をすすめます。
まとめ
いかがでしたか?
入学方法や入学後の生活など、日本とまったく異なるカナダの大学がお分かりいただけたでしょうか?
大学入学のハードルは高くなく、またそれをさらに低くする、カレッジからのUTプログラムがありますので、カナダ大学留学に是非チャレンジしてみてください。
カナダの大学に進学するにはとにかくお金が掛かります。ですが、工夫次第でそのお金を少なくすることも可能です。
カナダの大学に進学するのに必要なのは、「資金」、「覚悟」、「英語力」です。
とても大きな投資ですが、カナダの大学を卒業することができれば、投資と比べて余りあるリターンを得ることができます。
以上です!
もし留学で困ったり質問がある方はここまでご連絡ください!!!!
\\\\👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇////
\\\\👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆////
★★★★👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇★★★★
お役に立てたらクリックしていただけると嬉しいです。応援よろしくお願いします。
★★★★👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆👆★★★★